2008年度地域安全学会 公開シンポジウム開催報告
  〜火山噴火と地域の安全を考える〜

昨年は、三宅島にて火山災害からの復興をテーマに公開シンポジウムを行った。今年もこれに引き続き洞爺湖町を舞台に火山災害をテーマにしたシンポジウムの開催となった。洞爺湖の南に位置する有珠山は日本でも有数の活火山の一つである。最近では、約20〜30年の周期で噴火を繰り返しており、最近では2000年の噴火が記憶に新しい。今回は、2008年北海道洞爺湖サミットの準備で慌ただしい中、地域の皆様にご協力いただき、火山と如何に共生するべきかについて意見が交換された。

概要:

シンポジウムには地域の住民の方々や研究者など約80名の参加者が集まった。開会にあたり、山崎文雄氏(地域安全学会会長)の挨拶が行われた。続いて長崎吉夫氏(洞爺湖町長)から、町の有珠山の噴火時の対応や地域住民が勝ち取ってきた減災の歴史について紹介があった。次に、有珠山研究の第一人者である岡田弘氏を招いて、過去の有珠山の噴火時の活動や、今後どのように噴火に備えるべきかについて基調講演が行われた。2000年には、有珠山の噴火が事前に予知され事前の対策に基づき避難が行われた。その結果、被害を最低限に抑えることが出来た。有珠山の地域では行政と科学者がうまく連携し減災を実現させる取り組みが行われており、防災のあり方の一つのお手本とも言えるが、今後もこれを有効に機能させるためには、未来の噴火に対応する人々の教育が必要であるなど課題も示された。また、有珠山をユネスコの世界ジオパーク(世界地質遺産)として登録し、世界的に教育・観光・地域振興などに役立てていこうという構想が紹介された。

パネルディスカッションでは、コーディネーターの岡田成幸氏の主旨紹介の後、パネリストの発表があった。まず、行政、地域住民や観光産業、研究者の観点から今までの噴火の経験と今後の対応について各パネリストが報告した。2000年の噴火災害時は事前に噴火が予知され、たまたま対策が有効に機能したのであって、今後の噴火に対しても同様の対応が保証される訳ではない。そのためにも、慢心せず今後の噴火に対する備えに注力すべきだという意見が印象深かった。特に、防災の教育は重要で、教育を受けたものが噴火を経験し、次の世代の教育に回るサイクルは重要であるとの意見が述べられた。次に有珠山を観光資産と捉え地域として如何に共生すべきかについて意見が交わされた。有珠山の世界ジオパーク構想は、負の資産と捉えられがちな火山を魅力あるものとして一般に認知できる。そこには、火山やその災害と密接に生きていく意志が感じられ、地域に対する愛情が感じられた。パネリストの熱心な報告により、ディスカッションの時間が十分ではなかったものの、様々な災害の対策につながる貴重な意見が交わされて、シンポジウムは閉会した。

(総会・春季研究発表会実行委員会)